2022/02/12 23:57
計算問題と解説ページ1(全23問) |
問1、プロパン(C3H8)88gに含まれる炭素原子物質量[mol]として、正しいものはどれか。 |
Cの原子量を12、Hの原子量を1とする。 (1)3mol (2)6mol (3)8mol (4)12mol (5)88mol |
この問題は、プロパン(C3H8)88gに含まれる炭素原子「C」が何molか?を調べる問題。 |
プロパン88gだと何molになっているのかを調べ、炭素「C」もその比率に合わせれば炭素「C」の質量が分かる。 |
1、プロパン(C3H8)が1mol何グラムなのかを計算する。 |
炭素「C」の原子量は12g、水素「H」の原子量は1g |
C3H8なので、C3は12gx3、H8は1x8で足し算すると、36+8=44となり、 |
こうしてプロパン1molは、「44g」である事が分かる。 |
2、問題の88gのプロパンは何molかを計算する。 |
プロパンの1molは「44g」になるので、88 ÷ 44 = 2となり、88gのプロパンは、2molです。 |
3、88gに含まれるCを求める。 |
プロパン1mol(C3H8)に含まれる炭素「C」は3つなので3mol |
問題のプロパン88gは2倍の2molなので、プロパン88gでは炭素「C」は2倍の6mol含まれる。 |
答えは2番の6molとなる。 |
問2、炭素3gを燃やすと二酸化炭素は何gできるか。 (1)8g (2)9g (3)10g (4)11g (5)12g |
1、二酸化炭素CO2の炭素「C」の原子量は12g、酸素「O」の原子量は16g |
2、C(12g)+O2(16g×2) よって二酸化炭素は44g |
3、問題の炭素は3gなので 12 ÷ 3 = 4 で3gだと4分の1になる事が分かる。 |
4、炭素が3gの時なので、その比率に合わせて二酸化炭素44gも4分の1にすると、44g ÷ 4 = 11g になります。 |
答えは11gとなり、4番が正解。 |
この問題の様に原子量は問題に記述されていない事もあるので、 |
「水素Hは1g」「炭素Cは12g」「酸素Oは16g」の3つは暗記する。 |
二酸化炭素が「CO2」なのも覚えていないと計算できない! |
問3、次の示性式で表される物質1molを完全燃焼させた場合、必要な酸素量がもっとも多いものを選べ。 |
(1)C3H7OH (2)CH3COCH3 (3)C2H5OC2H5 (4)CH3COC2H5 (5)CH3COOC2H5 |
公式→ 「 燃焼させる物質 + ●O2 → ▲CO2 + ■H2O 」 |
(1)「C3H7OH」が完全燃焼した時の化学反応式の作成手順 |
1、公式に当てはめて数を数える |
C3H7OH + ●O2 → ▲CO2 + ■H2O |
Cx3 Hx8 Ox3 → Cx1 Hx2 Ox3 |
・左辺の「C」「H」「O」の数は |
左辺に「C」は、「C3」だけなのでそのまま3つ |
左辺に「H」は、「H7」と末尾に「H」が1つ有るので8つ |
左辺に「O」は、「C3H7OH」の中に1つと「●O2」の中にも「O」が2つ有るので3つ |
この様に左辺と右辺の数も数えると、 |
左辺は「Cx3 Hx8 Ox3」で、右辺は「Cx1 Hx2 Ox3」である事が分かります。 |
2、左辺と右辺の「C」「H」の数を合わせ、最後に「O」の数を決める |
・左辺の様に右辺のCも3つに合わせるために係数▲に数字を入れる |
右辺に「C」は「▲CO2」の中に有るので、「▲CO2」の▲に「3」を当てはめて「C」を3つにする。 |
これで「▲CO2」は「3CO2」になりました!この▲の部分を「係数」と言います。 |
・左辺の様に右辺のHも8つに合わせるために係数■に数字を入れる |
右辺に「H」は「■H2O」の中に有るので、「■H2O」の■に「4」を当てはめて「H」を8つにする。 |
これで「■H2O」は「4H2O」になりました! |
3、新しく決まった右辺に合わせて、左辺の「O」の数を合わせる |
・係数▲と■が決まったので、改めて右辺「3CO2 + 4H2O」の「O」の数を数える。 |
「3CO2」では、係数3が先頭に付いて「3 x CO2」という意味なので、 |
「CO2」の中の「O」2つに3を掛けて6つ有る事が分かります。 |
「4H2O」では、係数4が先頭に付いて「4 x H2O」という意味なので、 |
「H2O」の中の「O」1つに4を掛けて4つ有る事が分かります。 |
よって、右辺の中には「O」が合計10あります。 |
・右辺に合わせて左辺の「O」の数も10になる様に係数●に数字を当てはめる |
左辺には「C3H7OH」の中で既に「O」が1つあります。 |
なので左辺の「●O2」の中で「O」の数を9つにして左辺全体で10になる様に係数●を決めます。 |
「●O2」の「O2」に「O」が2つあるので、9の半分の4.5を係数●にして「4.5C2」と出来ます。 |
4、ここまででできた係数●▲■を公式に当てはめて「C3H7OH」が完全燃焼した時の化学反応式が完成 |
C3H7OH + 4.5O2 → 3CO2 + 4H2O |
(1)同様に(2)〜(5)の係数●も調べると、 |
(1)は「4.5」mol (2)は「4」mol (3)は「6」mol (4)は「5.5」mol (5)は「5」mol |
消費した酸素量は左辺の「O2」の量なので、係数●が一番多い(3)C2H5OC2H5が答えです。 |
ちなみに係数が4.5や5.5の様に小数点を付ける場合もあれば、 |
試験問題に記述される係数は、4.5を「9/2」、5.5を「11/2」と分数で記述される事もあります。 |
実際の試験ではこの手の問題は1問程度で多くは出題されないのでゆっくり解く時間はあります。 |
しかし公式を暗記しておかないと解けません。 |
練習問題 |
(1)CH4(メタン) (2) C2H4(エチレン) (3)2CH3OH(メタノール) (4)2CH3CHO(アセトアルデヒド) (5)CH3COOH(酢酸) |
この問題の答えは、(2)で酸素量は3molです。 |
この問題を素直に解くと以下の様になり、答えは(4)になりそうですが違います。 |
(1)2mol (2)3mol (3)3mol (4)5mol (5)2mol |
選択肢の「(3)2CH3OH」と「(4)2CH3CHO」は、先頭に「2」が置いてあり2molになっています。 |
よって他の選択肢と同じく1molに揃える必要があるため、 |
最後に係数●を2で割る必要があります。 |
(1)2mol (2)3mol (3)1.5mol(又は3/2mol) (4)2.5mol(又は5/2mol) (5)2mol |
問4、プロパン22gを完全燃焼させる場合消費する酸素量は?炭素の原子量を12、水素を1、酸素を6とする。 |
(1)プロパンの示性式C3H8が燃焼した時の化学反応式を作成すると、 C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O |
プロパン1molに対して、酸素は5mol反応する事が分かる。 |
(2)1molのプロパンC3H8が、何gなのかを計算する。 |
出題内容から、 |
Cの原子量は「12」、Hの原子量は「1」なので、 |
1molのプロパンC3H8は、3×12 + 1×8 = 44gになる。 |
(3)酸素5mol(5O2)が、何グラムなのかを計算する。 |
酸素の原子量は問題文には「6」とあるが、正式には「16」になるので「16」で計算する。 |
5molの酸素5O2は、5×16×2 = 160gになる。 |
(4)問題ではプロパンが22gなので、44gが何倍になっているかを調べる。 |
44 ÷ 22 = 2倍であり、プロパン44gとは22gの2倍であるので、 |
プロパンが22gの場合は酸素も5molから2を割り、2.5mol反応することになる。 |
(5)酸素2.5molの時の酸素の量を調べる。 |
5molの酸素5O2は、5×16×2 = 160gになるので、 |
2.5molの酸素は、160 ÷ 2 = 80gとなる。 |
よって、プロパン22gの時に反応する、消費される酸素の量は80gが正解。 |
問5、10℃のとき2,000Lのガソリンは20℃になると約何L増えるか。(ガソリンの体膨張率は0.00135とする) |
(1)1.35L増える (2)2.7L増える (3)13.5L増える (4)27L増える (5)54L増える |
公式→ 「 増加体積 = 元の体積 x 体膨張率 x 温度差 」 |
公式に必要な数字を代入して計算する |
増加体積 = 元の体積 x 体膨張率 x 温度差 |
= 2000L x 0.00135 x (20 - 10) |
= 2.7 x 10 |
= 27L |
答え、27L増えるので、正解は4番。 |
公式を覚えていないと解けない問題です。 |
ガソリンの体膨張率「0.00135」は問題文章に載せていない可能性があるので覚えるといいです。 |
問6、炭素を24g燃やすことで発生する二酸化炭素は何gか。 |
(1)28g (2)32g (3)64g (4)88g (5)128g |
(1)二酸化炭素CO2は構成する「C」「O2」の原子量から計算して |
炭素「C」=12g、酸素「O2」=16gx2=32gであり、足して44gになる。 |
(2)炭素24gに合わせて二酸化炭素の比率を合わせる |
二酸化炭素CO2の炭素「C」は(1)の通り12gで、 |
問題の炭素24gは、24g÷12g=2倍になるので |
炭素24gを含む二酸化炭素は、比率を合わせて44gが2倍になり88gとなる。 |
答えは(4)88g |
問7、以下の熱化学方程式を用い、C2H4の生成熱を求めよ。 |
C(黒鉛) + O2(気) = CO2(気) + 394kJ …………(1) |
H2(気) + 1/2O2(気) = H2O(液) + 286kJ …………(2) |
C2H4(気) + 3O2(気) = 2CO2(気) + 2H2O(液) + 1411kJ …………(3) |
(3)の反応熱 = ( (3)の生成物の生成熱の和 ) - ( (3)の反応物の生成熱の和 ) |
1、公式に当てはめる。 反応熱 = (生成物の生成熱の和) - (反応物の生成熱の和) |
・「反応熱」は、(3)の燃焼熱「1411kJ」 |
・「生成物の生成熱の和」は、(3)の熱化学反応式の「2CO2 + 2H2O」に(1)と(2)の燃焼熱(kJ)を代入して、 |
「2CO2 + 2H2O」は、「2 x 394 + 2 x 286」になります。 |
(2molの炭素は2を掛け、同じく2molの水素も2を掛ける) |
・「反応物の生成熱の和」は、(3)の「C2H4 + 3O2」の部分ですが、 |
単体の反応物は「0」として計算します。 |
なので「C2H4 + 0」になりますが、ここは初めから「C2H4」を当てはめると覚える。 |
よって式は、「1411kJ = 2 x 394kJ + 2 x 286kJ - C2H4」となります。 |
2、式「1411kJ = 2 x 394kJ + 2 x 286kJ - C2H4」を解いていく。 |
C2H4の生成熱を求めるので、C2H4を「X」とします。 |
1411kJ = 788kJ + 572kJ - X |
1411kJ = 1360kJ - X |
1411kJ = 1360kJ - X |
1411kJ + X = 1360kJ …………右辺-Xを左辺に移項して符号が+になる。 |
X = 1360kJ - 1411kJ …………左辺の1411を右辺に移項し符号がーになる。 |
X = - 51kJ |
答えは、- 51kJ/molになります。 |
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